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ASUS K513EにWindowsを再インストールしたらSSDが認識されない問題と、その解決法
修理事例

ASUS K513EにWindowsを再インストールしたらSSDが認識されない問題と、その解決法

「BitLockerが解除できない」から始まった一日

ある日、新規のお客さんから「BitLockerの回復ができない」という相談が来ました。


詳しく聞くと、Microsoftアカウントには入れるものの、本人確認用の携帯番号が数ヶ月前に変わっていて、SMS認証が通らない。回復キーを取り出そうとしても進めないという状況でした。


Microsoftアカウントの本人確認回復申請という正規ルートもありますが、お客さんの希望は「データは諦めるからクリーンインストールでいい」とのこと。よくある判断です。


ところが、ここからが本当の戦いの始まりでした。


問題のPCは ASUS K513E(第11世代Intel Core搭載モデル)。このシリーズには、Windowsの再インストール時に絶対にハマるある罠があったのです。


この記事では、同じ症状で困っている方のために、原因と確実な解決手順をまとめます。



症状:SSDが「見えない」

WindowsのインストールUSBから起動して、「インストール場所の選択」画面まで進むと、SSDが一覧に表示されない。


「Refresh(更新)」を押してもダメ。USBポートを変えてもダメ。


ここで多くの人が「SSDが壊れたのか?」と疑いますが、BIOS画面ではSSDがちゃんと認識されているケースがほとんどです。今回も BIOS では「INTEL SSDPEKNW 512G8」とモデル名まで表示されていました。


つまり、ハードウェアは正常なのに、Windowsインストーラーだけが認識できていない状態です。



原因:Intel VMDという仕組み

第11世代Intel Core以降のノートPCには、Intel VMD (Volume Management Device) という機能が組み込まれています。


これは、NVMe SSD(高速なM.2タイプのSSD)を専用のコントローラー経由で扱うための仕組みで、簡単に言うと 「SSDとCPUの間に一枚仲介役が入っている」 状態です。


問題は、Windows 10やWindows 11の標準インストーラーが、この仲介役に対応するドライバーを最初から持っていないこと。だから、BIOSではSSDが見えていても、インストーラーからは見えない、という現象が起きるのです。


ASUS K513Eに限らず、第11世代Intel以降の多くのノートPCで同じ問題が発生します。



解決方法は2つある

方法A:BIOSでVMDを無効にする(簡単だが落とし穴あり)

一番手っ取り早いのは、BIOSでVMDを無効化することです。


これでVMDという仲介役が消えるので、Windowsインストーラーから直接SSDが見えるようになります。インストール自体はスムーズに進みます。


ただし、ここが大きな落とし穴です。


VMDを無効にしたままインストールを完了し、その後Windows Updateを実行すると、再起動後に 「INACCESSIBLE_BOOT_DEVICE」というブルースクリーン(BSOD) が出てWindowsが起動しなくなることがあります。


これは、Windows UpdateがIntel RST(Rapid Storage Technology)ドライバーを自動的に当ててしまい、VMD無効の状態と整合性が取れなくなるためです。

方法B:VMD有効のままインストーラーにドライバーを読み込ませる(正攻法)

本来の正しい方法は、インストール時にIntel RST VMDドライバーを手動で読み込ませることです。


ただし、これにはドライバーの入手が必要で、しかも数あるバージョンの中から正しいものを選ばないと「ハードウェアと互換性がない」というエラーが出ます。今回の現場でも、いくつかのバージョンを試しましたがエラーが続きました。


そこで、現実的に一番確実だった手順が次の 「方法A改」 です。



実際に成功した手順:VMD無効でインストール → Updateの前にRSTドライバーを手動投入

落とし穴を回避するコツは、Windows Updateが走る前に、自分の手でIntel RSTドライバーを入れてしまうことです。


これで「VMD無効インストール」と「Update後のVMDドライバー要求」のすれ違いが起きません。

事前準備(別のPCで)

  1. Intel RST VMDドライバーをダウンロード
    • 検索キーワード:「IRST VMD Drivers GitHub」
    • 第11世代向けは「IRST_10-11G」フォルダのものを使用
    • 念のため他の世代のフォルダ(8-9G、12-13G、12-15G)も一緒にUSBに入れておくと安心
  2. ドライバーをUSBメモリに保存(Windowsインストール用とは別のUSBが望ましい)

インストール手順

  1. BIOSでVMDを無効化
    • 起動時にF2連打でBIOSへ
    • Advanced(詳細設定) → VMD Controller → Disabled
    • 保存して終了
  2. Windows 11のインストールUSBで起動
  3. 通常通りクリーンインストールを完了させる
    • SSDが認識されるはずなので、パーティションを全削除して未割り当て領域にインストール
  4. 初期設定までは進める(ローカルアカウント推奨)
  5. ★ここが最重要★ Windows Updateを実行する前に、Intel RSTドライバーを手動でインストール
    • 準備しておいたUSBをPCに挿す
    • IRST_10-11Gフォルダを開く
    • iaStorAC.inf を右クリック → 「インストール」
    • 再起動を求められたら再起動
  6. デバイスマネージャーで「不明なデバイス」がないことを確認
    • Windowsキー+X → デバイスマネージャー
    • 「!」マークが付いたデバイスがなければOK
  7. ここでようやくWindows Updateを実行


この順番を守ることで、UpdateがVMDドライバーを当てに来ても、すでに正しいドライバーが入っているので不整合が起きません。



まとめ:同じ機種を持っている方へ

第11世代Intel Core搭載のノートPC(ASUS K513Eを含む)でWindowsの再インストールが必要になった時のポイントは、次の3つです。


  1. SSDがインストーラーに見えなくても、SSDは壊れていない ── BIOSで確認すれば認識されているはず
  2. BIOSでVMDを無効にすればインストールは進む ── ただしそのままWindows Updateを走らせるとBSODのリスクがある
  3. インストール完了後、Updateの前にIntel RSTドライバーを手動で入れる ── これがBSODを防ぐ決め手


「SSDが認識されない! 壊れたのか!?」と慌ててSSDを買い直す前に、まずBIOSでVMDを確認してみてください。多くの場合、ハードウェアは無事です。



おまけ:BitLockerの教訓

今回のきっかけだったBitLockerの件についても一言。


BitLockerは強力なディスク暗号化機能ですが、回復キーが取り出せないと文字通り「自分のデータにアクセスできなくなる」事態に直結します。


普段からやっておくべきこと:


  • Microsoftアカウントに登録している電話番号・メールアドレスは常に最新に保つ
  • BitLockerの回復キーは、Microsoftアカウントに保存されるだけでなく、印刷するかUSBにも別途保存しておく
  • 携帯番号を変更した時は、各種オンラインサービスの認証情報も合わせて更新する


「いざという時」はだいたい、こういう備えを怠っていた時にやってきます。



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